長崎を、めぐる。などなど

おすすめしたいもの2026.07.18

症状ではなく、人に寄り添う地域づくりの物語|SSC 篠原 光沙実さん


長崎県大村市を拠点に、医療、美容、商品開発、地域連携と幅広い活動を展開する有限会社SSC。

その中心にいるのが篠原 光沙実さんです。

薬剤師として医療現場で経験を積み、美容医療の分野で独自の取り組みを続けてきた篠原さん。現在はスキンケア商品の開発や地域資源を活用した事業、さらには健康寿命の延伸を目指したウェルネス事業にも取り組んでいます。

一見すると多岐にわたる活動ですが、その根底には一つの共通した思いがあります。

「目の前の人の困りごとを解決したい」

その思いは、幼少時代の出会いから始まっていました。

恩師との出会いが医療への道を開いた

篠原さんが薬剤師を志すきっかけとなったのは、小学生時代に出会った恩師の存在でした。

家庭教師として学びを支えてくれた恩師は、勉強だけでなく人生そのものに大きな影響を与える存在だったといいます。

病院へ連れて行ってもらい、医療従事者が働く姿を間近で見た経験は、小学生時代の篠原さんの心に深く刻まれました。

その後、高校時代にも恩師との出会いがあり、薬学部への進学を後押しされます。

振り返れば、人生の転機にはいつも人との出会いがありました。

長崎大学病院で学んだ「人を見る医療」


大学卒業後、一度就職した職場をわずかな期間で退職。

その後、長崎大学病院の産婦人科病棟で働き始めます。

優秀な薬剤師が集まる環境のなか、自分に何ができるのかを模索する日々でした。

そんな中で篠原さんが選んだのは、患者と向き合うことでした。

勤務時間が終わった後も病棟へ足を運び、患者の話に耳を傾ける。薬の副作用への不安や、言葉にできない苦痛を聞き取りながら、医師や看護師と連携して課題解決に取り組みました。

当時はまだ一般的ではなかった疼痛(とうつう)コントロールやチーム医療にも携わり、「薬を渡すこと」と「患者を支えること」は違うのだと実感したといいます。

入院患者との出会いを重ねるなかで培われた「人を見る医療」という考え方は、現在の活動にも色濃く受け継がれています。

理想の医療を形にしたクリニックづくり

その後、篠原さんは自身が理想とする医療を実現するため、クリニックの運営に携わるようになります。

開業当初は受付、掃除、問診まで自ら担当する毎日。少人数体制のなかで、患者一人ひとりと向き合いながら診療を続けてきました。

美容医療がまだ一般的ではなかった時代、篠原さんが重視したのは「美しさ」そのものではありません。

肌の状態を改善し、その先にある健康や生活の質を高めること。

患者の経済的負担にも配慮しながら、皮膚科的な視点と予防医学の考え方を取り入れた診療を行ってきました。

医療とは症状だけを見るものではなく、その人の人生に寄り添うもの。

その考え方が、現在のSSCの原点となっています。

医療現場の課題から生まれた製品開発


診療を続けるなかで、篠原さんはある課題に直面します。

治療後の肌を支える製品が十分にないことでした。

敏感肌の人に合う製品が少ない。
価格が高く継続しづらい。
必要な保湿力と使用感を両立した製品が見つからない。

「ないなら自分で作ろう」

そうして始まったのがオリジナル製品の開発です。

開発された製品「ビワの葉ごころオマモリジェルクリーム」には、あふれるほどの美容成分を持つビワを丸ごと(果肉・果皮・種・葉すべて)抽出したビワエキス*をはじめとした植物由来成分を配合。さらにnanoPDS®技術を採用することで、角層まで有効成分を効率的に届けながら肌への負担を軽減する工夫が施されています。

*整肌成分を含む


こだわったのは成分だけではありません。

パッケージデザインやロゴも自らの思いを反映しながら制作。外部任せにするのではなく、一つひとつ対話を重ねながら形にしていきました。

そこには医療の延長線上にあるものづくりへの姿勢が感じられます。

長崎の歴史を香りで伝える

篠原さんの商品づくりには、長崎ならではの物語があります。

香りの開発で着目したのは、かつて出島に存在した薬草園でした。

江戸時代、長崎ではさまざまな薬草や花が育てられていました。

その歴史を調べながら、「当時の風景を香りで表現できないか」と考えたのです。

香りを通じて長崎の歴史や文化を感じてもらう。

それは単なる化粧品づくりではなく、地域の記憶を未来へつなぐ取り組みでもあります。

地域に眠る価値との出会い


活動を続けるなかで、篠原さんは「長崎で活動する意味」を改めて考えるようになりました。

その答えを探すため、自ら山へ入り、生産者のもとへ足を運びます。

薬用植物や漢方の原料、ビワ葉や松葉など、地域に昔から存在している資源に目を向けるようになりました。

そこには、まだ十分に活用されていない可能性が数多く眠っていました。

地域資源を商品に活かすだけではなく、生産者の思いや背景まで含めて伝えていく。

篠原さんの活動は、地域の価値を再発見する取り組みへと広がっていきます。

地域社会とともに歩む未来


現在はクリニック運営や商品開発に加え、農家との連携や地域課題の解決にも取り組んでいます。

農地の減少や後継者不足といった課題に向き合いながら、生産者と消費者をつなぐ循環づくりを模索しています。

SNSによる情報発信もその一つです。

地域にある魅力や旬の農産物を発信することで、人と人をつなぎ、新たな価値を生み出していきたいと考えています。


医療、ものづくり、地域づくり。

一見すると別々の活動のようですが、その根底には共通する思いがあります。

「人が元気になれば、地域も元気になる」

長崎という土地に根を張りながら、人と地域の未来を見つめる篠原さんの挑戦は、これからも続いていきます。

Rezzedout

有限会社SSC

篠原 光沙実さん

住所:長崎県大村市上諏訪町837-1
HP:https://herbeau-japan.com/
オンラインショップ:https://herbeau-japan.stores.jp/
Instagram:@herbeau_japan