行ってほしいところ2026.05.27
日常と特別が交わる場所。大村に生まれた新しいコミュニティ|ハレとケ 鈴木 涼さん

長崎県大村市で、“まちづくり”をテーマにしたスナック「ハレとケ」を営む鈴木さん。
昼はIT・デジタルマーケティングの仕事をしながら、夜は地域の人と外から来た人が交わる場をつくっています。
「スナックって、実は昔からコミュニティの場だったと思うんです」
そう語る鈴木さんに、活動を始めたきっかけや、大村という地域への想い、これからの展望についてお話を伺いました。
“客として行ったスナック”が原点だった
鈴木さんが初めて大村を訪れたのは、大村にあるコワーキングスペースcotoが開催する「多拠点ワーク体験ツアー」への参加がきっかけでした。
地域事業者との交流会のあと、地元の人たちと一緒にスナックへ。
そこで感じた空気や雰囲気が、今の活動につながっています。
「短い時間なのに、地域の人とすごく深くコミュニケーションが取れたんです。
“こうやって人ってつながるんだ”って感動しました」
一人の人と仲良くなり、その人の友人を紹介され、さらに別の人へ——。
気づけば、2日間で10人、20人と知り合いが増えていたといいます。
「自分も、今度は“提供する側”になってみたいと思いました」
大村を選んだ理由は「人」
これまで仕事でさまざまな地域を訪れてきた鈴木さん。
その中でも、長崎県大村市には特別な魅力を感じたそうです。
「仕事柄、これまで多くの自治体を訪問してきましたが、大村ほど横のつながりが強い地域はなかなかありませんでした。
いろんな人を紹介してもらえて、すぐ地域に入り込める感覚があったんです」
市長・副市長をはじめとする自治体の方々や地域企業の経営者とも自然な距離感で関われる空気。
外から来た人を受け入れてくれる温かさ。
そのような特別な魅力も1つの要素となり、移住を決断した理由になりました。
“みんなでつくった”店づくり

「最初は、スナックをやりたいと思っても、何から始めればいいのか全然わからなかったんです」
飲食経験もなく、店舗づくりも初めて。
そんな鈴木さんを支えたのが、大村の“いい意味でおせっかいな人たち”でした。
「地域の人たちが、“こうしたらいいよ”“この人紹介するよ”って、自然と手を貸してくれたんです」
物件探しから内装、必要な業者の紹介まで、多くの人が関わってくれたといいます。
実際、店づくりの多くは仲間たちとの手作業。
壁紙や看板こそ業者に依頼したものの、掃除や床の設営、レイアウトづくりなどは自分たちで行いました。
「ペンキを塗るのも、店の準備も、みんなでやりました。
3〜4か月くらいでオープンできたのは、この地域だったからだと思います」
誰か一人がつくった店ではなく、地域の人たちとの関わりの中で少しずつ形になっていった「ハレとケ」。
その成り立ち自体が、この店の象徴なのかもしれません。
“身内感を出さない”ことを大切に
「ハレとケ」で鈴木さんが大切にしているのは、“誰でも入りやすい空気づくり”。
「初めて来た人や、慣れていない人が疎外感を感じないように意識しています」
常連だけで盛り上がるのではなく、自然と輪に入れる雰囲気をつくる。
それが、鈴木さん自身が原体験からこだわりを持っている、この店の大事な役割だといいます。
“一日店長”が生み出した特別な夜
「ハレとケ」では、“一日店長”という仕組みも取り入れています。
地域で活動している人に店長をしてもらい、その人を通じて新しい人の輪が広がっていく——。
店のテーマは「中と外の交流」です。
特に印象に残っているのが、地域おこし協力隊の里さんを一日店長に迎えた日のこと。
その日は、里さんを応援する人たちが次々と来店しました。
「“実はずっと応援してました”っていう人がたくさん来て。」
里さん自身も、“こんなに応援してくれている人がいたんだ”って驚いていました
普段の活動や努力が、目に見える形で現れた夜。
「その人自身も気づいていなかった魅力やつながりが見える。
そんな場になれたのは嬉しかったですね」
地域に根づくまでの“地道な積み重ね”

今では地域に浸透してきた実感がある一方、ここまでの道のりは決して簡単ではありませんでした。
「地域の人に活動を理解してもらって、応援してもらう。
そこを積み上げるのは大変でした」
それでも、日々お店に来てくれる人からの「今日行くよ」という連絡が、何より嬉しいと話します。
「特別な瞬間というより、日常の積み重ねですね。
少しずつ“土壌”ができてきている感覚があります」
教員からIT業界へ。人生の転機
実は鈴木さん、以前は神奈川で小学校教員をしていました。
転機となったのは、同僚の退職。
「将来をちゃんと考えなきゃいけないのかなって、一気に不安になりました」
その後、IT系スタートアップ企業へ転職。
1人で営業からカスタマーサポートまで、あらゆる仕事に挑戦しました。
「やってみたら意外とできる。
挑戦して、成果を出していくのが楽しいと思えたんです」
この経験が、「やりたいことは、とりあえずやってみる」という今の価値観につながっています。
“ハレとケ”という名前に込めた想い

店名の「ハレとケ」は、日本の古い言葉“ハレとケ”が由来。
“ハレ”は祭りや祝い事などの特別な日。
“ケ”は日常。
「日常も特別な日も、どちらも楽しめる場所にしたいんです」
いつもの常連だけの日もあれば、偶然の出会いから特別な夜になることもある。
そんな空間を目指しているといいます。
スナックは“コミュニティマネージャー”の原点
鈴木さんは、スナックという存在そのものにも可能性を感じています。
「今でいう“コミュニティマネージャー”の役割って、実はスナックのママが昔から担ってきたものだと思います。
人と人をつなぎ、場の空気を読み、初対面同士の距離を自然に縮める。
そうした関係性の設計と場の運営を、スナックのママは日常的に行ってきたのではないでしょうか。」
「昔から当たり前にあったスナックの価値を、今の時代に合わせて言語化して、ブランディングしていきたい」
それが、鈴木さんの描く未来です。
これから挑戦したいこと
今後は、現在のスナック運営の仕組みを“外へ持ち出す”ことにも挑戦したいと考えています。
例えば企業の交流ラウンジづくりや、コミュニケーション設計。
「人と人がどうすればもっと自然につながれるか。
それをサービスとして提供していきたいです」
さらに、九州エリアでIT・デジタルマーケティング事業も拡大していきたいとのこと。
そして最後に、少し笑いながらこんな話もしてくれました。
Instagramでショート動画を撮影しているなかで芽生えた感情があったのだそうです。
「最近、有名人になってみたいなって思ってるんですよね」
理由を聞くと、
「特にないです。なったらどうなるんだろうって(笑)」
そんな自由さも、鈴木さんらしさなのかもしれません。
ぜひフォローをお願いします!笑
ハレとケ、そして若い人への想い
「やりたいことは何でもやってみる」
教員からIT業界へ、そして大村でスナックを始める——。
鈴木さんの行動の根底には、そんな価値観があります。
だからこそ、若い世代にも「周りの声を気にしすぎず、自分のやりたいことに挑戦してほしい」と語ります。

大村の夜に、人と人とのつながりを生み続ける「ハレとケ」。
そこには、日常と特別が交わり、新しいコミュニティが育っていく風景がありました。
空港から車で20分ほどの立地。
近くに来るときがあれば、ぜひ日常と特別が交わる場所「ハレとケ」を訪れてみてください。
スナック ハレとケ
鈴木涼さん
住所:長崎県大村市本町507壱番館ビル101
TEL:070-9166-3998
店舗営業時間:20~24時
定休日:火曜日・日曜日
HP:https://www.nagasaki-tlab.com/
Instagram:@
haretoke_omura






