おすすめしたいもの/行ってほしいところ2022.05.10
町の熱い想いを胸に。 従業員一丸で盛り上がる酒造蔵|大島酒造 長岡 祐一さん
応援してくれる方々の期待に応えたい。
ワンフォーオール・オールフォーワンを合言葉に
従業員一丸で成長する大島酒造社長の長岡さんに話を伺いました。
この会社を応援してくれる人たちに応えたい
西彼杵半島から大島大橋を渡り、車を走らせること10分。第3セクターの造り酒屋、大島酒造がそこにあります。「酒屋の親父がお茶飲んでたら様にならないよ。」と、軽妙な語り口で迎えてくれたのが社長の長岡祐一さんです。大島酒造が誕生したのは35年前のこと。かつて大島町は人口2万人程度の炭坑で栄えた町であったそうです。しかし、エネルギー革命が起こり、炭鉱は廃坑。町はさびれてしまったそう。なんとか町を元気にしたいと当時の町長さんは大島造船所を誘致し、また特産品であったサツマイモに着目、焼酎作りを考えたそうです。国の反対に遭いましたが、町長さんの熱い想いは大島町、大島造船所、農協、漁協、商店会、さらには長崎県の日本酒全蔵元からの資本出資を取り付け、全国でも類を見ない第三セクター方式の造り酒屋大島酒造が誕生したそうです。長岡さんは以前、230年続く日本酒の蔵元の経営に携わっていたそうです。そこで6年間伝統的な酒造りを学ばれたのだとか。「その間に酒造りに魅了されたんですよ」と長岡さん。それから大島酒造の社長に就任されて4年目になります。「町づくりの熱い想いを応援してくれた人たちのためにも良い会社に育てたいよね」と続けます。
熱い想いに応える、大島酒造のこだわり
いも焼酎にはこだわりがあります。それは、長崎の地でできた芋で、長崎の水を使い、長崎の人が作るということです。そんな焼酎が素敵だなと思っています。他の土地で仕入れた芋を使ったらここで作る意味がない。」社長就任にあたり、さらに良い品質の酒を作るために当時の酒造りを根底から考えたそう。「私が社長就任前から働いていた従業員からはとんでもないやつが来たって思われたかもしれませんね」と長岡さんは笑いながら語ります。原料では、芋を自分達でも作るようにしたそうです。農業を経験したことがない社員が地元の契約農家さんに教えを請い、種芋をもらい、小さな畑から始めたそう。「今では、2ヘクタールもの広さの畑になりました。一緒に芋作りをやってくれる若者もいますよ。今では頼りになる農園長です。」と嬉しそうに語ります。「ものづくりは、とても楽しいことで、自分の裁量で思う通りに成果物ができていくことは本当に楽しいことです」とニコニコしながら続けます。酒造蔵は新しく立て直しました。目的は品質と製造効率の向上です。大部分の作業工程が自動で処理できるようになり、2日がかりの作業が3時間ですむようになったとか。作業時間の短縮で、衛生管理の強化や原料の鮮度保持にまで期待ができるそうです。また様々な条件下での焼酎作りの研究もはじめました。従来の職人の経験や勘ではなく数値を見える化することが目的です。「若い世代に焼酎文化を伝承するために『いい加減』ではなく『良い加減』ですね」と笑いながら語ります。「畑を始め良い原料を知り、新しい蔵を立てる、研究開発をできる設備も整った。おかげさまで業績も良くなってきました。それでも大島酒造全員の真価はまだまだこれからですよ!」と力強い言葉をいただきました。