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行ってほしいところ/食べてほしいもの2025.06.10

大村の『食』に情熱の風を吹き込む|「まつの時」松原慎治さん

長崎県大村市を語るとき欠かせないのは、やっぱり『食べ物』。大村に居酒屋「まつの時」を運営している松原慎治さんにインタビューをおこない、『食』へのこだわりを語っていただきました。

大分県出身の松原さんは、地域とのつながりを大切にし、心のこもった食体験を創り出したいという思いから、2023年10月に大村市で新たな一歩を踏み出しました。

転機と新たな道

松原さんの食の世界への道のりは、一直線ではありませんでした。

会社員としてキャリアを積んだ後、40歳で「ターニングポイント」を迎えました。 「このまま会社員を続けるのか、それとも別の仕事にするのかってところで…」と語ります。 この重要な時期が、松原さんを会社勤めから飲食業界へと導きました。

松原さんの料理人としての修業は多岐にわたり、その技術を学ぶことへの真摯な姿勢がうかがえます。久留米の焼き鳥屋で約4、5年腕を磨き、そこでは地鶏の解体作業もアルバイトとして経験し、 直近の1年間は、静岡県のイノベーティブレストランで経験を積んでいるそうです。

大村への道は縁と温かい歓迎の心に導かれて

自身の店を開くにあたり、松原さんは福岡、大分、静岡など様々な場所を検討しました。

最終的に大村市を選んだのは、個人的な御縁と、街の支援的な環境の両方があったからです。「大村は母親の地元になります」と説明します。

「ちっちゃい頃から、夏休み・冬休みとか、そういう時は里帰りをしていて、すごく居心地がいいところだったという記憶があります。」

郷愁だけでなく、松原さんは大村の盛んな第一次産業や物価の安さにも惹かれました。

 しかし、決め手となったのは、地元自治体の積極的なサポートでした。「市役所の方が移住懇談会を定期的に開催していました」と松原さんにお伺いしました。

「そこに移住前に顔を出して、移住者だったり、市の職員の方と話すようになって、その市の担当者の方が結構親身になってくれて、なんか長崎の方ってそういう受け入れてくれる気質なのかなと。もしかしたら全然知らない土地ですけど、ここだったらやっていけるのかなという、安心感があったりしました。」

大村の充実したサポート体制に魅力を感じ、お母さまの地元へ移住して開業する経緯となったようです。

「まつの時」安全で美味しく、地元に根差した食へのこだわり

「まつの時」の考え方には、「根本にやっぱりその安心安全っていうのがある」という理念があると語っていただきました。 松原さんは、この哲学を反映した食材を使うことにこだわっています。

「極力添加物に頼らない化学調味料使わないとか、あとは無農薬まではいかないですけど、やっぱり有機栽培だったり、生産者の顔がわかるものを極力使うようにしてますね。」

このこだわりは、地域社会への貢献にも繋がっています。「地産地消に役に立てれば」という松原さんの『食』から地域へ、という考え方が全てを語っていると感じました。

今後はリピートしてくれる常連客との絆を育む

現在、「まつの時」は常連客に支えられ、口コミを通じて新規の客も訪れています。 松原さんはこの自然な成長を喜んでいます。「自分たちとしてもすごいやりやすくて、接客もやりやすいし、お客さんが人間的に素晴らしいんですよね。」と言います。

 「これがいつまで通用するかわからないですが、1年~2年目は今のスタイルを維持してやっていきたいです。」

松原慎治さんの物語は、熟考の末の転身と、新たなコミュニティへの純粋な貢献意欲の物語になっていると感じました。「まつの時」は単なる居酒屋ではなく、店主の歩んできた道と、温かく居心地の良い空間で、心のこもった地元の誇りを味わえる料理を提供したいという真摯な思いが込められた場所なのです。

まつの時(まつのじ)
住所:長崎県大村市松並1-295-3
TEL:0957-42-4144

Instagram:https://www.instagram.com/ma_2_noji/

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