食べてほしいもの2026.04.30
平戸に新しいカルチャーを。兄弟の夢から生まれた店|ラッキーダイナー 松尾英介さん

長崎県平戸市、この街に少し意外な空間があります。
白を基調とした店内に、ストリートカルチャーを感じるインテリア。
ハンバーガーとチキンオーバーライスを看板メニューに掲げる「ラッキーダイナー」です。
自然や歴史の街として知られる平戸にあって、どこか都会的な雰囲気をまとったこの店。
そこには「地元に新しい刺激を生み出したい」という、オーナー松尾さんの思いがあります。
兄弟と仲間たちとともに始めた店づくり。その背景には、平戸を離れて暮らした経験と、多くの人との出会いがありました。
平戸を離れて見えた、地元の魅力
松尾さんは高校進学を機に平戸を離れました。
高校は長崎市、大学は県外、就職は福岡。さまざまな場所で生活をしてきました。
外の街で暮らすことで、地元を客観的に見るようになったといいます。
「外に出てみると、平戸の良さも改めて感じますし、逆に“こういうものがあったらいいのに”と思うこともありました」
兄弟3人の間では、以前からこんな話をしていたそうです。
「いつか自分たちで何かやりたいよね」

飲食店やアパレルなど、カルチャーを発信できる場所。
その夢を形にしたのが、ラッキーダイナーでした。
誰でも入りやすいダイナーを目指して

店づくりで松尾さんたちが大切にしたのは、「誰でも入りやすい空間」です。
兄弟はストリートカルチャーが好きですが、いわゆる“男っぽい店”にはしたくなかったといいます。
「女性や年配の方でも入りやすい店にしたかったんです」そこで店内は白を基調にした清潔感のあるデザインに。
年齢や性別を問わず、気軽に立ち寄れる空間を目指しました。

建物は新築。設計の段階から細かな部分まで検討を重ねました。
設計士は大阪在住だったため、松尾さんたちは大阪まで足を運び、飲食店を何軒も見て回ったそうです。
「食べ歩きをしながら、内装や動線、トイレや洗面所まで勉強しました。そこから『こうしよう』『ああしよう』と話し合って、今の形に落とし込んでいきました」
出会いから広がった店づくり
店内のデザインには、さまざまな人との出会いが詰まっています。
とくに印象的なのが、ガラス窓に描かれたサインペイントです。
これは東京のアーティストによるもので、ロゴデザインも同じ方が手がけています。

「最初から、この方にお願いしたいという思いがありました」
兄弟3人で東京まで足を運び、直接打ち合わせをしました。
その出会いをきっかけに、人のつながりがさらに広がっていきます。
渋谷で飲食店を営む方との出会いから、家具やインテリアのブランドを紹介してもらうなど、店づくりの輪は少しずつ広がっていきました。

「いろいろな人に出会って、助けてもらいました。本当にラッキーな出会いが多かったですね」
その思いから、店の名前は「ラッキーダイナー」と名付けられました。
熊本で学んだハンバーガーづくり
ラッキーダイナーの看板メニューの一つが、ハンバーガーです。
使っているのは、地元の平戸牛です。

しかし、最初から作れたわけではありませんでした。
「本当にゼロからのスタートでした」
知人の紹介で熊本のハンバーガー店を訪ね、そこでハンバーガーづくりを教えてもらう機会があったそうです。
牛肉の配合や焼き方、ソースづくりなど、さまざまなことを学びながら試行錯誤を重ねました。
「そこから自分たちなりに研究して、今のハンバーガーができました。思い入れのあるメニューです」
ニューヨークの屋台料理、チキンオーバーライス

もう一つの看板メニューが「チキンオーバーライス」です。
ニューヨークの屋台で人気の料理で、日本ではまだ提供している店が多くありません。
「SNSでハンバーガーとチキンオーバーライスを一緒に出している店を見て、いい組み合わせだなと思ったんです」
そこから実際に食べ歩きをして研究を重ねました。
平戸では珍しい料理ですが、
一度食べると「また食べたい」と言ってくれるお客さんも多いといいます。
ラッキーが重なって実現した店
店を始めるタイミングでも、思いがけない出来事がありました。
飲食店とは別の事業枠で出されていた補助金の情報を知り、申請してみることにしたのです。
「長崎県でも1件か2件くらいしか採択されていない補助金だったんですが、それに通ったんです」
まさに店名の通り、いくつもの“ラッキー”が重なった結果でした。
若い世代に刺激を与える場所に
ラッキーダイナーの2階にはイベントスペースがあります。
音楽やアート、古着など、平戸ではなかなか触れる機会のないカルチャーを発信していきたいと考えています。
「平戸で暮らしている若い子たちに、少しでも刺激になるようなことができたらと思っています」
将来的には、アーティストの側から
「ここでイベントをやりたい」と言われる場所になることが目標です。
平戸を訪れたときは、ぜひ立ち寄ってください
最後に松尾さんはこう話します。
「平戸には自然や歴史など魅力的なものがたくさんあります。でも、うちは少し“平戸らしくない空間”をつくっているつもりです」
そのギャップも楽しんでもらえたらうれしいといいます。

「料理には自信があります。ぜひたくさん食べて、いい時間を過ごしてもらえたらうれしいです」
平戸の街に生まれた新しいダイナー。
そこには、この場所に新しい風を吹き込もうとする人の思いがありました。

ラッキーダイナー
松尾英介さん
住所: 長崎県平戸市岩の上町209-1
TEL:080-1761-4919
開館時間:11:00~17:00(ラストオーダー16:30)
不定休
Instagram:@lucky_diner_






