食べてほしいもの2022.05.10
新天地で花開く地域と生きるベトナム料理店 ベトナム食堂|カラテチョップ 土井 慎二さん 恵三子さん
かつては東京は下北沢にあった繁盛店。時間に追われる生活から新しいライスタイルを求めて移住を決意。移住先の大村市でははたしてどのような生活が待っていたのでしょうか?
大村市だからこそできるベトナム料理を
一歩足を踏み入れると、そこはカラフルでオリエンタルな空間。まるで異国へ迷い込んだかのような空気感。ここは「ベトナム食堂 カラテチョップ」。土井慎二さんと恵三子さんが営むベトナム料理店です。元は東京の下北沢で営業していた人気店。東日本大震災をきっかけに恵三子さんの実家がある大村市へ移転しました。提供する料理には、野菜とハーブをたっぷりと使い、化学調味料に極力頼らず、素材の味を活かした自然な味わいが魅力です。 移転するにあたり、東京ではできないことをやりたかったという慎二さん。おいしさに感動したという地元の野菜には特にこだわります。そして、そのこだわりに応えてれたのが、本誌インタビューでも協力してくれた「ごん介農園」の滝川さん。「使いたい野菜やハーブの相談になんでも気軽に乗ってくれる心強い存在です。彼を中心に、大村市には頼りになる農家さんが何人もいます」とその感謝を示します。滝川さん達の協力もあり、季節によっては、大村市とその近郊で育てた野菜だけで料理を提供できるそうです。「地元の食材で料理を提供することは、飲食店として真っ当で健全なことだと思います。目指すは完全に地のものだけで提供する、大村市ならではのベトナム料理店ですよ!」移住して4年。大村市では珍しいベトナム料理店ですが、土井さん夫妻のこだわりは地元民からも受け
自身の経験から思う、地方の魅力と移住のススメ
村市へ移住して、特に変わったことは“心にゆとりができたこと”と土井さん夫妻は口をそろえて語ります。「たしかに下北沢のお店は繁盛していました。しかし、高い固定費など経済的なストレスを抱える生活と夜遅くまで営業しなければならない時間に追われる生活をせざるをえなかったのです」と慎二さんは当時の苦労を明かします。移転した現在では、定休を週二回に設定。さらに、大村市の夜が早いこともあり、閉店時間を早めました。時間にゆとりができたことで、自身の身体を休めることはもちろん、満足のいく仕込み、さらにはメニュー開発といった新たな試行錯誤をする余裕がうまれたそうです。また、つくり手の顔が見える新鮮な野菜や魚介類を料理できる機会、そしてそれを扱う生産者との出会いが慎二さんにとって新たな刺激になったとか。その様子を見て「下北時代より、今の方がいきいきと楽しそうに仕事をしているよね」と恵三子さんが言うほどです。移住コンシェルジュとして、市の要請にも協力しているという土井さん夫妻。今後増えていくであろう移住を考える人へ自営業をするならば大村市への移住をオススメしたいと主張します。「大村市は街の規模がちょうどよく、働き方のメリハリが付けやすい点が魅力です。そして、なにより伝えたいことは“自営業は楽しい”ということ。決して簡単で甘いものではないですが、都会より面白くやっていける可能性が高いと思います。この店は僕が70歳まで続けるつもりです。その頃までには、この街で商売をする、ちょっと先を走っている先輩として移住者に助言できる存在になっていたいですね」とのこと。“大事なことは、ゆるくても真面目に、それでも決して無理はしないこと”。移住の魅力とともに、そう教えてくれる土井さん夫妻でした。
長崎県大村市松並2-1187-1
TEL:0957-54-768
営業時間:11:30〜14:30(LO14:00)18:00〜21:30(LO21:00)
※金曜はランチタイムのみ営業定休日:月曜、木
WEB:karatechop.jimdo.com