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おすすめしたいもの2022.05.10

日々の暮らしに寄り添うような ものづくりのあたたかさを伝えたい|家具づくり sur+ 松尾 篤行さん

琴海エリアのとある森の工房で、木の温もりを伝える家具職人がいます。
大村湾周辺に根付く作家同士との絆も深いという松尾さん。
多くの人を惹きつけてやまない、彼の魅力の秘密に迫ります。

完全オーダー制の木工家具作家を訪ねて

業製品に囲まれた現代において、一生ものの家具を手に入れたいと思った時、欲しくなるのが、作り手の顔や想いが見える製品なのかもしれません。今回訪れたのは、完全オーダー制で製作を行なう、家具職人の松尾篤行さんです。「材料選び、デザイン、製作、納品まで、全ての工程において独りで行なっているため、お客様にはお待ちいただくことが多く、心苦しいですが…」。と語る松尾さん。その製作スタイルは、自分のためだけの製品が完成するのを待つ楽しみが味わえるとも言えますが、作品に惚れ込むファンがいるからこそできることです。そして、それは原料の木と向き合いながら、常に良いものを作り上げるために模索し続けなければならない、勇気のいる選択です。しかし、彼の暮らしぶりを目の当たりして、本来、ものづくりとはこういうものだったのかもしれない、と考えてしまいます。「どうしてこの道を選んだんですか?」という問いかけに、「夏休みの工作の延長で…」と笑顔で答える松尾さん。元々工作が好きだったこともあり、長崎高等技術専門学校でインテリアを学んだ後、長崎市内の会社に就職。そこで今の家具製作の師匠にあたる人に出会うことになりました。

長崎市琴海エリアにある工房。少しわかりにくい場所にあるため、工房を訪ねたい場合は事前に問い合わせを。
美しい曲線のフォルム、優しい滑らかな肌触りが特徴です。
スプーン作りの過程はノミを巧みに使い、仕上げていきます。
工房には工具機器ズラリ。作業によって細かくドリルを使い分けます。
工房には資料や工具などが整然と収められています。
広葉樹を中心に様々な素材を使用。木目を生かした美しい仕上がりも印象的です

[完成作品にであえるのは展示会のみ。工房では展示販売はしていないのでご注意を]

もっと多くの人に長崎の作り手の良さを知ってもらいたい

松尾さんの家具づくりは、その家具を使う人を知ることから始まります。「まず家族構成や生活スタイルを確認し、その方の好みや暮らしに馴染むように心掛けています。特に日本の狭小住宅では、少しでも空間を広く感じられるように脚部を設けるなど、広く見せる意識をしています。」松尾さんの作る家具で、魅力的なのが木の持つ優しさを感じる肌ざわり。サラリとしながらも、肌になじむ心地よさがたまりません。また、色の違う木の組み合わせも秀逸で、柔らかい雰囲気がありながらも、独特の存在感を放ちます。工房には展示販売の機能がないため、実物を見たい人は展示販売会を訪れるのが最善でしょう。家具の種類を決めて注文する場合も、使用する木により雰囲気や価格が異なるので、打ち合わせをしてから製作に入ります。全く同じものが欲しい、という要望も、手に入らない木を用いている場合は実現不可能な場合もあるそうです。家具以外の小物類も製作していますが、オーダーができるのはあくまでも家具だけ。小物類は展示販売されているものに限り購入できますが、木の組み合わせや木目が一点一点違うため、あっという間に売り切れてしまうのだそう。

11月には佐世保市の古民家スペースで展示会を予定しています。「長崎にはものづくりにこだわる作家さんが数多くいます。もっと多くの方にその想いを届けられるよう、最近では展示販売イベントに積極的に関わるようになりました。長崎の潮の香りと共に、ものづくりの良さを感じていただきたいですね」と松尾さん。作り手と使い手をつなぎたいという想いが、これからの長崎のものづくりをさらに発展させてくれそうです。

展示会でのみ出あえるsur+の家具たち

以前に行われた展示会の様子。
キッチン収納に活躍するカップボード。多良の森にある工房・六音窯(ろくねがま)の器との相性も◎。
両脇に開き戸があり、真ん中の小さな引き出しの存在が機能的なキャビネット。
デスクとイスの組み合わせ一例。
クッションは大川市の工場による特別オーダー製。
レザー紐との組み合わせが堪らない靴べら。
色の違う木の組み合わせ=千切りのアクセントが美しく映えるアクセサリーボックス。
デスクまわりにセンスが光るブックスタンド
家具づくり sur+
長崎市琴海戸根町290-12
TEL:095-814-3236
instagram:kagu.sur.plus

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